人前で緊張すると、普段の冷静さを失ってしまい、想像もしなかったような失敗をしてしまったり、突然頭が真っ白になってしまったりして悲しくなりますよね(泣)。
そんな体験を一度でもすると、人前に立つのがひどく恐ろしくなります。
人前で堂々と力を発揮できる人を見て羨ましくなり「どうせ自分なんて」と卑屈になってセルフイメージも下がってしまいます。
あなたにもそんな経験、ありますか?
私にはあります。
でも、安心してください。「緊張さえしなければ自分はもっとうまくやれるのに・・・」こんな悲しい気持ちに、ならなくても済むようになる「緊張しない11の方法」をまとめました。
「人生の大舞台で120%の力を発揮するためのセラピー」を行っているセラピストからのアドバイス。
私が行っているソフロロジーは、特にテニス・チャンピオンたちの間で、実践されている方が多いです。
スポーツは、ハイレベルになると、勝負はメンタルの強さで決まるからなんですね!
では、早速、チェックしてみてください ⇒ 「上がり症の人が大勢の前で発表しても緊張しない11の方法!」
目次【興味のある内容へジャンプ】
緊張しない人はいない
『人前で緊張しない人はウラで「ズルいこと」やっていた』(内藤誼人著、大和書房)
これは本の題名です。
おもしろい題名ですよね。この本の著者は立正大学客員教授をしている心理学者。
この本の中でボストン大学の研究者が行った「緊張」に関する興味深い研究結果が紹介されているので、シェアさせてください。
肝っ玉が大きい人も、ごく普通の人と同じように緊張していたのである。
「人前で堂々と力を発揮できる人は、みんな緊張しないのに違いない」
これは実は思い込みで、実際には「人間ならば肝っ玉が大きい人もみんな緊張していた」ことが研究によって明らかになりました。
つまり「緊張しいで困っている人」と「肝っ玉が大きい人」の違いは緊張するかしないかではなく「緊張しながら良い結果が出せていたかどうか」が違っていたんです。
興味深い研究結果だと思いませんか?
1. 緊張していることをカミングアウトする
「緊張したくない」と思うと、緊張している自分を否定したくなることがよくあります。
でも、、これは本当は逆効果なんです。
「緊張したくない」と思えば思うほど、心臓の鼓動が激しくなり、心が落ち着かなくなります。
「人間なんだから、緊張するのは当たり前」と開き直り、緊張したときこそ、そのことを誰かに告白して楽になりましょう。
「むっちゃ緊張してきた。やばいやばい」と誰かに言ってしまえば、心も軽くなります。
2. 本来の目的に意識を集中する
「なぜ緊張したくないのか?」という本来の目的をしっかりと把握するようにしましょう。
本来の目的に意識を向け直すために、おススメの「問いかけ方法」はこちら
「緊張しないことで、私は、本当はどうしたいの?」
きっとあなたは「緊張しない」ことを通して、誰かに大切なことを明確に伝えたかったり、舞台や劇でお客さんに感動してもらったり、試験や試合で最高の結果をおさめたかったり、したいのではないでしょうか?
「緊張しない」はゴールではなく、ゴールに辿りつくための手段。
緊張の中であっても、目的が達成できれば、あなたは楽になれるはずです。
「緊張しない」ことから意識を外し、成功した後の自分の気持ちを想像してみてください。
想像するだけなら簡単ですよね?
また、緊張するということは「うまくやりたい」という強い向上心の現れでもあります。
「うまくやりたい」という思いがなく、「どうなっても構わない」と思っている人は失敗を恐れる必要がありません。
「緊張するのは、あなたに高い向上心があるから」です。
「緊張している自分」に気づいたら「自分は、こんなにも向上心の高い人間なんだ」と誇りを持ちましょう!
緊張の身体メカニズムを知って対策しよう
緊張することが、誰にとっても当たり前で、強い向上心の表れだとしても、「緊張はしない方がいい」と、思うのは私も同じです(笑)。
では、緊張状態とは、どのようにして引き起こされるのでしょうか?
体のメカニズムについて、理解しましょう。
緊張状態というのは、血液中のノルアドレナリン値が上昇して起こります。
このノルアドレナリンは、緊張や不安を感じたときに活発に分泌され、交感神経系を活性化します。
交感神経系が刺激されると、心拍数や体温、血圧が急上昇します。
こうして呼吸が浅くなったり、手に汗を掻いたり、手足が震えたりするようになるんですね。
交感神経系が活性化するとき、それは野生動物でいえば身に危険が迫っているときです。
身に危険が迫ると、野生では闘ったり逃げたりして生き延びるために、体がエネルギーを過剰に作りだします。
その生命機能は、人間にも残っています。
そんなわけで、緊張して、過剰に作り出されたエネルギーは注意力を散漫にしたり、冷静さを失わせる原因となるんですね。
この、過剰に作られたエネルギーをうまくコントロールすることで、緊張を解くことができます。
どうやってコントロールしたらいいのかというと??? ⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓⇓
3. 体をリラックスさせる簡単エクササイズ
過剰に作られたエネルギーが体内に留まると、筋肉に力が入り、リラックスできなくなります。
ですから、無駄に作られてしまったエネルギーは消費することで、体の外へ発散させましょう!
《エネルギーを発散する、ぴょんぴょんエクササイズ》
- 足元へ視線を落とし、その場で小さく飛びます。
- 踵を上下するだけの小さな動きでも大丈夫です。
- その際、上半身の力をできる限り脱力することが大切です。
飛ぶたびに緊張が砂となって体から振り落とされ、上半身の力が抜けていくのを意識して感じてください。 - 濡れた手の水気をはらう時のように、手をぶらぶら揺すりながら飛ぶとさらに効果的です。
- 反対に足には体の体重がかかり、とても力強く体を支えてくれていることを感じてください。
上半身の力が抜けてきたら飛ぶのをやめて、少し目を閉じて体が脱力した状態に意識を向けます。
目を閉じて脱力した体の感覚を強く意識することで、脳は危険が去った(緊張を維持する必要がなくなった)と認識してくれます。
しかし、エクササイズができない状況で緊張と闘わなければいけないケースもあり得るでしょう。
そんな場合は、目をつむって息を止め、緊張している状態をしっかりと感じ取りましょう。
手が震えている、鼓動が早くなっている、手が汗ばんでいる。
そんな緊張している状態を味わい切ってから、その緊張を吐き出すつもりで息を吐き切ります。
息を吐き切ったら目を開けます。
これを何度か繰り返すことで心身がリラックスしていきます。
4. 呼吸法
脳が危険が去ったと認識してくれたのに、また新たな不安を覚えて、緊張を生み出していたらエンドレスですよね。
リラックスした状態を維持するためには「呼吸の魔法」を使いましょう。
先ほど、緊張状態では、ノルアドレナリンが活発に分泌され、交感神経系が活性化して、心拍数が上昇するとご説明しました。
呼吸は心拍数をコントロールするのに最適なツールなんです。
呼吸を、深くゆっくりするようにすると、即座に心拍数が下がります。
それもそのはずで、体に供給される酸素量が減りますから、心臓も活動を抑えざるを得なくなるのです。
深く呼吸をしようと思うと、ついつい吸うことを意識しがちですが、実は、息を吐き切ることに意識を向けることで、緊張が静まっていきます。
吐いた息の量だけ、息を吸うことができるので、息を吸うことを意識しなくても大丈夫なんです。
目安は5秒間息を吐き、5秒間息を吸うこと。
この呼吸を6回(約1分間)行いましょう。
もちろん、もっと長い間続けても大丈夫です。
コンクールやオーディション、コンサートなど、特にプレッシャーがかかる場面では4分間、測りながらこの呼吸法を続けると、さらに効果的です。
この動画の〇の動きに合わせて呼吸すると、5秒間呼吸ができますよ☆
脳と仲良くなるイメージトレーニング
人間の心や体をコントロールする司令塔は脳です。
このことは皆さんご存知かと思います。
ということは、緊張してしまう理由は「脳が緊張すべき状態だと判断しているから」ということになります。
つまり、脳が「へっちゃらな状況」と判断してくれれば、同じ状況でも緊張せずにすむということです。
「そんなことができるの?」
と思われるかもしれませんが、実は脳の機能はシンプルなので、意識的にコントロールすることができるんです!
それが、いわゆるイメージトレーニングと呼ばれるテクニックです。
どうしてイメージトレーニングが効果的なのか?
それは脳の仕組みに秘密があります。
実は脳は現実と幻想を区別していません。
現実を見ている時も、テレビや映画などでバーチャルの世界を見ている時も、脳の同じ部位が活性化していることが知られています。
下図のように、リアルでもバーチャルでも、イメージは視覚野で、音は聴覚野で、においは嗅覚野で、処理されるのです。
想像の情報も、リアルな情報も、脳は区別をつけませんが、より強い影響を受ける刺激というものがあります。
それは「臨場感を感じる情報」です。
臨場感とは「リアルに感じる状態」のこと。
「これから人前で発表する」⇒「人前で発表するのは苦手だ」⇒「人前で発表するときはいつも緊張して失敗してしまう」
こんな思い込みがあると、まだ起こってもいないのに、脳は失敗すると思い込んでしまうんですよね。
あまりにもリアルに失敗体験を妄想できると、そのまま妄想が現実化してしまうのです。
この脳の性質をポジティブに利用するのがイメージトレーニング。
イメージトレーニングとは、現実とは関係なくポジティブなイメージをリアルに想像することで、脳に「万事OK」と錯覚してもらい、リラックスした状態で、成功体験を現実化させるテクニックなのです。
とはいえ「緊張して失敗するかもしれない」と感じている人が、リアルに「成功する自分をイメージ」するのはハードルが高いですよね。
ですからイメージトレーニングには順番を守って行うようにしましょう。
5. 発表が成功した後の自分をイメージ
まずはイベントが大成功に終わった後の自分をイメージします。
現実とは関係なく、大成功に終わったという仮定で、イメージトレーニングを開始します。
- あなたは最大限の力を発揮して任された責務を全うし、自ら設定した目標も達成し、心が充足し、達成感に満たされています。
- 達成できたことに感動しているかもしれません。
- 自分を誇りに思い、自信が溢れ出てきます。
- 周囲からの称賛や感謝の言葉、拍手を耳にしているかもしれません。
- 大切な人があなたの成功を喜ぶ笑顔を目にしているかもしれません。
- とにかく、あなたはやり切りました。
- あなたは満足感と達成感に満たされています。
イベントが成功した後の誇り高い自分をあらゆる角度からイメージしてみてください。
6. 発表前のあなたをイメージ
次にイメージするのはイベント前のあなたです。
- あなたはイベントのためにたくさん準備をしてきました。
- 普段通りのあなたはイベントを成功させるだけの能力を十分に持っています。
- 普段通りのあなたは呼吸が深くゆっくりで、足が地についている感覚が鮮明で、自分のすべきことに全神経を集中させることができます。
7. 発表中のあなたをイメージ
最後に落ち着いて、自信をもって振る舞っているイベント中のあなたをイメージします。
- あなたの足取りはとてもゆっくりと堂々としていて、背筋はまっすぐ伸び、余裕のある立ち居振る舞いをしています。
- 仕草も素振りも落ち着いていて、呼吸が深くゆったりとしています。
- 表情もやわらかく、足が地についている感覚が鮮明で、頭の中で自らの目的が明確になっています。
- 自分がやるべきことが明確になっていて、そこへの集中力が最大限に上がっています。
- 緊張が胸の中にふくらんできても慌てることなく、姿勢を整え、背筋を伸ばし、視線を上げて、本来の目的に意識を集中し、その目的を一心に達成しようとしています。(背筋を伸ばして視線を上げることで「自己肯定感」が高まり、感情がポジティブになる効果があります。)
- あなたは、もはや「緊張するかどうか」よりも本来の目的に没頭しています。
- 「相手の役に立てれば自分はどうなろうと構わない」「自分は相手の助けとなるようなことができればそれでいいんだ」そんな気持ちに溢れ「緊張しているかどうか」などは気にならなくなっています。
大勢を目の前にする状況をイメージするのがどうしても苦手な場合は、大勢が目の前にいても、たった一人の相手に発表しているイメージを持ってみてください。
例えば、知り合いの誰かと「カフェ」で向き合って話をしているイメージをしましょう。
カフェには大勢の人がいますが、知り合いと話しているときは周囲の人は無視できる状態になっていますよね?
同じような感覚をイメージします。
目の前に大勢の人が並んでいても、自分が話を伝えようとしているのはたった一人、ということです。
8. 発表前・発表中・発表後をトータルにイメージ
個別にイメージトレーニングしたものをつなげ、トータルでイベントの過程をイメージします。
リアルにイメージできればできるほど、効果が高まります。
また、イメージトレーニングを繰り返し行うことで、実際の本番が未知の体験ではなくなり、脳にとっては、慣れた経験と認識されるようになるので、緊張する理由もなくなっていきます。
もし、本番前に行っている習慣(スポーツ選手がしているようなポーズや、手のサインなど)があれば、それも取り入れて、自分を落ち着かせる行動を習慣化していきましょう。
上がり症の克服 究極の方法
緊張を緩和するテクニックは、様々ありますが、何と言っても万全な練習をしておくことは最大の心の支えとなります。
9. リハーサルは本気で
ここで大切なのはリハーサルと本番を分けて考えないこと。
リハーサルと本番の体験は別物だと脳が認識すると、いくら練習しても本番を未知の体験として捉え、不安を喚起することになってしまいます。
リハーサルを行うなら、聴衆がいることをイメージし、本番同様か同じような機材を整え、本番マイクを使うならマイクを使って、本番と同じ声量で、本番と同じ服装で練習を積むことが大切です。
こうすることで本番が既知の体験に近くなっていきます。
本番の日の時間の流れや人の動きなど、できる限りのことをシミュレーションしておくことで未知の要素が減り、余計なストレスを低減することができるようになりますよ。
10. 場数を踏む
様々なテクニックを駆使しても緊張してパフォーマンスが落ちてしまう状況を克服できない場合の究極の克服方法。
それは場数を踏むことです。
どんなに緊張することでも回数をこなして退屈になるほど数をこなせば、緊張しなくて済むようになります。
「緊張しそうな状況だ」と思ったら積極的にその状況に身を投じる癖をつけてしまいましょう。
そうすれば緊張することも怖くなくなります。
11. 完璧主義を捨て、できない自分を受け入れる
完璧主義は人生を停滞させるブロックだって知っていましたか?
人生で成功を収めている人は、何でも完璧にこなしているように見えるかもしれません。
でも実際には、常に完璧を目指している人よりも、「できてもできなくても、とりあえず行動してみる」人の方が何倍も早く人生を前へ進め、多くの物事を成し遂げているものです。
「そもそも完璧は幻想です。
完璧を目指せば目指すほど、白い壁の小さなシミが気になるようになり、完璧からほど遠い自己イメージが強化されていってしまいます。
結果の良し悪しに関係なく、挑戦するだけで、あなたは既に前へ進んでいるのです。
まとめ
- 緊張していることをカミングアウトする
- 本来の目的に意識を集中する
- 体をリラックスさせる簡単エクササイズ
- 呼吸法
- 発表が成功した後の自分をイメージ
- 発表前の自分をイメージ
- 発表中のあなたをイメージ
- 発表前・発表中・発表後をトータルでイメージ
- リハーサルは本気で
- 場数を踏む
- 完璧主義を捨てて、できない自分を受け入れる
いかがでしたか?
結局は、緊張して失敗しても、死ぬわけではありません。
人生は何とかなるものですから、思いつめずに気楽にいきましょう。
最後まで記事をお読み頂きありがとうございました!
最後に、緊張をリラックスさせるセルフワークの講座サイトを作っています。
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