パニック発作がいつ起こるか分からない不安や恐怖。そのために生活が制限され、将来も不安に。

もし、発作が起きても自分なりに対処できる方法があったら、パニック発作が収まるまでの時間を短くできたら、心強いですよね。

イメージ呼吸法(ソフロロジー)は不安や恐怖、痛みなどのストレス対処法として効果が高くフランスでは、不安症やパニック症候群に対しても多くの医師が実践を推奨している方法です。

本記事では、不安の増大やパニック発作が起こるメカニズムとそれに対処するための呼吸法について、お伝えします。

※「イメージ呼吸法(ソフロロジー)」は治療法ではありません。治療はお医者さんや心理士さんにご相談くださいね。

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パニック発作とは?

パニック発作になると「このまま死ぬかもしれない」という気持ちになるなど、とても怖い思いをしますが、当人が感じる感覚とは裏腹に、この発作によって本当に危篤状態になったり死に至ったりすることはありません。数十分~30分ほどでおさまります。

発作で起こる体の症状は様々ありますが、次のような症状が知られています。

  • 窒息感
  • めまい、ふらつき、または気が遠くなる
  • 死への恐怖
  • 正気を失うことや自制を失うことへの恐怖
  • 非現実感、違和感、または外界との遊離感
  • ほてりまたは悪寒
  • 吐き気、腹痛、または下痢
  • しびれまたはチクチク感
  • 動悸または頻脈
  • 息切れまたは呼吸困難
  • 発汗
  • 振戦またはふるえ

これらの症状は、現実に危険が身に迫っているときに起こる生体反応なのですが、現実には論理的に考えて「差し迫った危険がない」のに、このような反応が引き起こされるのがパニック発作の特徴です。

例えば、電車に乗っていて、駅で大勢の人が列車に乗り込んでくる、誰もが経験したことのあるような状況ですが、それを見たときに、急に「自分が大衆に襲われ、電車の中に閉じ込められるのではないか」という恐怖を感じて発作が起こる場合もあれば、特に思い当たる状況もないのに、突然、発作に見舞われることもあります。

こうした経験を繰り返すうちに、日常的に「いつ、あの発作が来るか分からない」という不安を抱えて生活するようになると「パニック症候群」といわれます。

危機的状況とは?

現実に危険にさられている状況というのは、例えばクマに遭遇するなどして実際に襲われるかもしれない状況のことをいいます。

このような状況では、その瞬間を生き延びるために最善の行動をとらなければなりませんよね。逃げた方がいいのか、武器などで闘って勝機があるのか、迅速・適切に判断し、逃げるか立ち向かうか決めなければいけません。

こういった差し迫った状況では、逃げるにしても闘うにしても、高い運動能力が必要です。

逃げるか闘うか判断するために脳を活性化させたり、高い運動能力を発揮させたりするのに、私たちの体は酸素を必要とします。

そのため、血液中の酸素濃度を上げようと呼吸が速くなったり、その血液を大量に脳や筋肉へ送り出そうと鼓動が速くなったりします(心臓がポンプして血液を体中へ送り出そうとします)。一方で、生きるか死ぬかとはあまり関係のない消化機能などは抑えられることになります。

このような危機的状況になっても対応できるように、私たちの体は作られています。具体的には、視床から「視覚」「聴覚」「体感」などで感じたことが偏桃体へ伝えられ、それらの情報から「ちょっと、危機に直面しているわよ」という風に体が反応します。すると、危機を生き延びるために、交感神経が活性化し、同時に脳からアドレナリンが大量放出されることで、心臓の鼓動や呼吸が速くなり、血圧が上昇したり、汗が出たり、口が乾いたりします。

こうして次のような生体反応が引き起こされます。

  • 呼吸が速くなる
  • 鼓動が速くなる
  • 血圧が上昇する
  • 筋肉への血流量が上あがる
  • 筋肉が力む(筋肉は張る)
  • 消化機能が低下する (蠕動(ぜんどう)運動の低下)
  • 皮膚の血管が収縮する(とり肌が立つ)
  • 汗ばむ
  • 脳が活性化する
  • 細胞の代謝が活性化する

これらの生体反応をうけ、現実的な状況とは関係なく、当人は緊迫した局面に直面させられている体験をリアルにします。パニック発作では、このような状態が数十分つづくため、現実にクマに遭遇したわけではなくても、発作後には、まるでクマと遭遇して命からがら逃げ延びたかのような心身の消耗感が残ってしまいます。

また、症状が治まった後も、上述したような理由から消化器系の不具合が心配になって病院へ行くことも稀ではありません。

パニック発作による「自動思考」

上述したような身体症状は、当人に様々な感覚をもたらします。例えば「呼吸が速くなる」という生体反応だけでも、次のような感覚が伴います。

  • 窒息感、息が吸えない恐怖
  • 頭がくらくらする
  • 頭痛
  • 視界がゆらぐ
  • 自分がおかしくなっていく感覚、自分が自分ではなくなっていく感覚
  • 手が汗ばんだり、熱気に耐えられなくなる感覚
  • 極度のしびれやチクチクする感覚
  • 手足がつる感覚
  • 胸の痛みや心臓が異常にドキドキする感覚

このような体の異変を感じると、人の脳は「どうしてこんなことになっているのか?」理由を見つけようとします。そして、多くの場合、次のような考えにいきつくことになります。

  • 自分はこのまま死んでしまう。
  • 気を失ってしまう。
  • 癌などの大きな病気にかかっているに違いない。
  • 窒息しそう。
  • 心臓発作を起こしてしまう。
  • 自分がおかしくなってしまう。
  • 誰かを傷つけてしまう。

これらは「発作が起きているときの本人にとっては、とてもリアルな体験」なのですが、現実にそのようなことにはならないんです。それでも、客観的にどうであっても、このリアルな思考が不安をさらに増大させることになります。

不安が増大すると、その感情が脳へフィードバックし、さらに交感神経が興奮してアドレナリンなどの物質が放出される、というような「不安と身体症状のフィードバック連鎖」が繰り返され、パニック発作が数十分もつづくことになります。

不安とパニック症状が連鎖するサイクル
パニック発作 縮図

 

不安とパニック症状の連鎖サイクルを断ち切るには?

パニック発作の時間を短くするには、この連鎖をどこかで断ち切ることが大切になってきます。

連鎖を断ち切るポイントは3つ

  1. 交感神経を鎮める
  2. 思考を静める
  3. 気持ち(不安)を静める

交感神経と対になっている神経を副交感神経といい、この2つを合わせて自律神経といいます。

自律神経がバランスよく活動してくれるおかげで、私たちは、普段、意識しなくても心臓や肺が勝手に動いてくれるわけですが、逆にこれを意図的にコントロールすることで、自律神経のバランスを取り戻すこともできるんですよ☆

そのためには予め、方法を身に着けておく必要があります。

呼吸

「呼吸」は自律神経を意図的にコントロールするために最も効果的なアプローチ法です。

「呼吸」は意識しなくても自動でできますが、意識してコントロールすることもできますよね。呼吸をただゆっくりにするだけで、肺への空気の取り込みや排出の流れを穏やかなものにし、体内に循環する二酸化炭素(ガス)量が過剰に増加しないようにすることができます。そのことで過呼吸を予防することができます。

そして、呼吸をゆっくりにすると、呼吸数に従って、すぐに心拍数が下がります。酸素の流入が穏やかになれば、心拍を下げて体の活動レベルを低下させざるを得なくなるからです。

「呼吸コントロール」だけで、呼吸二酸化炭素(ガス)量心拍がコントロールできるんです。

 

また、呼吸のスピードだけでなく、呼吸の仕方を意識的にコントロールすることにより、体の内側の緊張状態を緩ませる効果も期待できます。

普段、胸の上部しか使わずに呼吸している人がほとんどなのですが、下腹部をしっかり意識して、膨らませたりへこませたりして呼吸を行うことで、横隔膜がお腹の内側をマッサージしてくれ、お腹や内臓に溜まった緊張をほぐすことができます。

また、「イメージ呼吸法(ソフロロジー)」のセッションでは、呼吸をコントロールし、胸やお腹の緊張をほぐすだけでなく「自分の呼吸」というものを「上手にできている」とか「遅い/速い」などのジャッジなしに「ただ、ありのままの自分の呼吸を感じる」という体験に重きをおくことで「自己受容」を促します。

「〇〇のために△△する」という目的達成のための行動ではなく、「ただ、ここにある呼吸を感じる」というアプローチから「自己受容」を促し体に起こっていることのジャッジをネガティブ思考や不安へつなげない体験を繰り返すことで「体の不快感⇒ネガティブ思考」の連鎖反応の癖が変化していくんです。

筋肉をゆるめる

交感神経が興奮すると、筋肉に多くのエネルギーが集まり緊張状態になります。これらのエネルギーは実際にクマから猛ダッシュで逃げたり、闘ったりすれば、発散されてなくなりますが、そういったことがなければ、筋肉に溜まったままになりますよね。こうしたエネルギーをうまく発散し、筋肉を緩ませることからも交感神経を鎮めることができます。

ただ「筋肉を緩めよう」とするだけでは、こわばっている筋肉はなかなか緩んでくれません。そうした筋肉も、筋肉の緊張と弛緩を交互に繰り返すことで緩みやすくなることが知られています。

「イメージ呼吸法(ソフロロジー) 」では、呼吸と筋肉の弛緩を連動させることで、自律神経系を深くリラックスさせていきます。

イメージ

上記に挙げた「呼吸」と「筋肉の弛緩」に「ポジティブな連想」を取り入れることで、「体感⇒ネガティブ思考⇒不安」という思考や感情の癖をポジティブで体や心が落ち着くものへ変化を促していきます。

体の感覚を常に気にしながら「今は体調がいいのか?」「発作が出そうな気配があるのか?」とジャッジし、怖れるのではなく、「体の感覚は、ただ体の感覚としてココにある」と捉えることに慣れ、徐々に心地よい思考や気持ちよさを感じられる体の感覚を思い出せるようにしていきます。

パニック発作に対処するカンタン呼吸法

発作時の対処 呼吸法

発作が起こったときに、肺への空気の取り込みや排出の流れを穏やかなものにして過呼吸を防ぎ、体内に循環する二酸化炭素量を抑えるためのカンタンな呼吸法をご紹介します。

  1. 鼻からゆっくりと息を吸いながら片手(もしくは両手)を拳に握り、力を入れます。
  2. 数秒間(5~8秒間)息を止め、手を握りしめます。
  3. 口からふーっと、と息を吐きながら手の平をひらき、力をゆるめます。
  4. 3、4回、普段の呼吸をします。

1~4を繰り返します。(発作の症状があるときは、症状がおさまってくるまで繰り返します。)

発作が静まった後に自分を落ち着ける呼吸法

この呼吸法では、パニック発作の後に数分間行うことで、血液中の二酸化炭素量のバランスを取り戻すことができます。

  • お腹に手を当てて、呼吸によるお腹の動きに意識を向けます。
  1. お腹を膨らませながら3秒かけて息を吸います。
  2. お腹を意識的にへこませながら(手で押してもいいです)3秒かけて息を吐きます。
  3. 「1+2の呼吸」 x 10回 繰り返します。
  4. 息を数秒間止めます。
  5. 「1+2の呼吸」 x 10回 繰り返します。

1~5を気持ちが落ち着き、リラックスした感覚に戻れるまで1~5を繰り返します。

 

簡単な呼吸法をご紹介しましたが、いざ発作が起こったときに、これらをするのはなかなか難しいと思います。一日、一回寝る前に、これらの呼吸法を実践する習慣をつけるなどし、体感をジャッジせずに受け入れる心がけをもっておくことで、必要なときに自然と呼吸法が使えたり、体の反応に巻き込まれずに、思考をコントロールできるようになったるすます☆

【情報リソース:https://tcc.apprendre-la-psychologie.fr/trouble-panique.html】