「新型コロナ、見えない脅威、不安~!!」

という方へ、生物学的な知識をお届けするシリーズ。

こっそり理学部・生物学科出身 パリ在住リケジョ・セラピストの「おもしろウイルス講座」第2弾です!

第1弾に感謝のコメントをくださった方、ありがとうございます ! 筆者とっても喜んでます(*^▽^*)!

第1弾はコチラからどうぞ ↓↓↓↓↓

第2弾はの目次は下記。記事の最後までお読み頂き「コロナ専門家サイト」のリンクを見つけてくださいね☆

子どもは感染源になるのか?

子どもたちが通う学校が長い間、閉鎖されていますが、それもやがて開校される日がきます。

子ども
  • 学校が開校されたとき、子どもたちへの危険はあるのか?
  • 街で見かける子どもたちからうつされる危険はないのか?

結論からいうと感染症の専門家の間では「子どもは主要な感染源にならない」とされています。

(※コロナに関しては、様々な専門家が色々なことを言っていますが、医学の知識がある人たちの中でも感染症の専門家にしか分からないことが沢山あります。メディアの情報が「何の専門家の発言なのか?」に注目されることで振り回されることが減りますよ☆ 逆に、医師たちには経済のことは分かりませんしね(笑)。)


なにを根拠に!?

その根拠が気になりますよね。

1. 上気道(肺と喉をつなぐ気道のうち、喉に近い方)のウイルス排出量が年齢に比例する。

「ウイルス講座・第1弾」で説明したように、ウイルスは体内でのみ感染力を維持しながら増殖をつづけることができるので。ウイルス感染者が新しい人に新型コロナをうつすには、感染者の体からウイルスが外へ出てこなければいけません。感染者からウイルスが体の外へ排出される場所が上気道なんです。

香港大学が上気道のウイルス排出量を調べた研究データによると、ウイルスの排出量は、病気の重症度とは関係なく、年齢が低ければ低いほど少なくなる、ということなんですね。(※厚生労働省のクラスター(※)対策班のメンバーである東北大学の押谷仁教授も「日本感染症学会」で同じ内容の発表をしています。)

【情報リソース:https://scienceportal.jst.go.jp/reports/other/20200420_01.html
https://www.news24.jp/articles/2020/04/18/07628147.html

※クラスター : 新型コロナウイルス感染が広がっている集団のこと。また、集団感染のことです。

2. フランスの9歳の新型コロナウイルス患者が感染後172人と接触しているにも関わらず、誰にもうつしていない

フランス公衆衛生(Santé Publique France) の感染症研究者、コスタ・ダニス(Kostas Danis)氏の研究によると、スキー旅行で新型コロナウイルスに感染した9歳の子どもが、フランス南東部の自宅へ帰り、コロナ感染に気づかなまま3つの学校に通いましたが、接触した計172人(うち112人が児童)のうちの誰にもコロナをうつしていないことが分かりました。しかも、この9歳の子どもには2人の兄弟もいましたが、兄弟にもうつっていなかったんです。(※ 臨床感染症学(Clinical Infectious Diseases)」というアメリカの医学雑誌に4月11日に発表されています。)

興味深いことは、コロナ感染チェックを受けた172人のうちの64%がインフルエンザなど冬に流行るウイルス性の病気に罹っていたということです。つまり、新型コロナウイルスは子どもを感染源としてインフルエンザのように広がっていくことはないことが分かります。

【情報リソース:https://www.lefigaro.fr/flash-actu/les-enfants-transmettraient-peu-le-covid-19-apres-etude-d-un-cluster-en-haute-savoie-20200420】

コロナが流行り出してから、日本の学童や保育園などは開いていましたが、そこで大規模な集団感染は起こっていません。また、スウェーデンでは「子どもが主な感染源でない」ことから保育園~中学校までが通常どおり開校されつづけていますそれでも問題ないようなんですね。

これらのことから「子どもたちがコロナの大きな感染源にはなることはなさそう」というのが感染症の専門家の見解なんです。

免疫 VS ウイルス

ウイルス講座の第1弾では、ウイルスが体内に入るのを防ぐ「水際防衛作戦」についてお伝えしました。これを「局所免疫」といいましたね。

この記事では、水際を突破され、ウイルスが体内に入ってきてしまった場合に、人体がどんな戦い方をするのか?体内の免疫システムについてお伝えします。

ウイルスの体内侵入作戦

ウイルスが体内に入ったからといって、即ウイルスが増殖できるわけではありません。ウイルスは細胞を乗っ取って、その細胞に自分のコピーを作らせることができて、初めて増殖できます。

さらに、ウイルスはどんな細胞でも乗っ取れるわけではありません。ウイルスの表面には「スパイクたんぱく質」というトゲトゲがついていて、このトゲトゲがハマってくれる受容体を持っている細胞にだけ取り付くことができます。

ウイルス

では、ウイルスが受容体を持っている細胞を見つけて、その細胞表面にがっちり取り付いたら、どうなるのか?

すると、ウイルスは自分のウイルス遺伝子(RNA)を細胞内へ送り込みます。

細胞内にウイルス遺伝子が送り込まれると、その遺伝子(タンパク質の設計書)に沿ったタンパク質を細胞が生産し始めてしまいます。 ← これが「ウイルス増殖」であり、「細胞のウイルス感染」です。

ウイルス感染した細胞は、乗っ取られっぱなしなのかというと、そうでもありません。

不本意に敵を生産するくらいなら細胞たちはウイルスと共に死ぬ道を選びます(涙ぐましいですね、オヨオヨ)。 ← これが「アポトーシス(細胞の自殺)」です。

アポトーシスは正常な機能です。怖い機能ではありませんので、ご安心を (*^^)v。

こんな風に、ウイルスも簡単には増殖させてもらえないんですねぇ。

※ウイルスによる細胞の乗っ取り方はコチラの図解が分かりやすいです。

免疫の防衛作戦~ 2ステップ

体内の防衛線は大きく2つに分かれます。「自然免疫」と「獲得免疫」です。

「自然免疫」は敵の感知と、ジェネラリスト的な攻撃をする免疫反応です。

敵が来ると、どんな病原体に対しても同じような攻撃をしかけます。威力は低いのですが、高い機動力で速攻してくれます。

一方、「獲得免疫」は「自然免疫」よりも活動開始が(数日)遅れます。しかし、その分、威力は格段に上がるのです

ウイルスやっつける

ステップ1 –  自然免疫

体内での闘い、それは敵が体内へ侵入したことを感知することから始まります。素早く感知して迎撃し、「細胞のウイルス感染」数を低く抑えることが作戦の目標になります。

《物見 – パターン認識受容体》

敵の侵入を感知してくれるのが「パターン認識受容体」。ウイルス感染において「パターン認識受容体」が認識するのは、主に「ウイルスの遺伝子」もしくは「ウイルスたんぱく質」。(ウイルスと分かる特徴があるんです。)

「パターン認識受容体」がウイルスを感知すると、ドミノ式に様々な迎撃システムのスイッチが押されていきます。言ってみれば、ここで「開戦」です(笑)。

例えば、敵を食べる(攻撃する)細胞の活性化を促す物質が放出されたり、闘う細胞たちを大量生産するスイッチが押されたり、また後々活躍する「獲得免疫」の活性化の誘導にもつながるスイッチとなっています。

「パターン認識受容体」のおかげで、体内に、対ウイルス最強の防衛体制が敷かれることになります。

《「自然免疫」の攻撃方法は主に2つ》

1)直接病原体に穴をあける、融解するなどして病原体を分解処理。
2)病原体を食べることで処理。(細胞の内側へ病原体を取り込んでしまいます。)

「自然免疫」の攻撃部隊のメンバーには「樹上細胞」や「マクロファージ」「好中球」などがあります。

敵を食べることによって得られた情報は「獲得免疫」チームへ伝達されます。それは主に「樹上細胞」の役割です。(※マクロファージもその一端を担ってはいますが、主には樹上細胞となります。)

「樹上細胞」は、細胞内に敵を取り込むと「リンパ節」へ移動し、免疫システムの最高司令官である「T細胞」を呼び寄せます。

【情報リソース:http://www.senri-life.or.jp/lfnews/lf_pdf_75.pdf】

ステップ2 –  獲得免疫

「T細胞」は敵情報を受け取ると、殺し屋「キラーT細胞」を放ち、必殺武器(抗体」の生産を「B細胞」に命じます。

「キラーT細胞」はウイルス感染した細胞がウイルス増殖を続けないように破壊し、「B細胞」は敵の息の根を止める(病原体を不活性化させる)必殺武器である「抗体」を生産します

このように、ウイルスに感染すると、免疫系は、”感染した細胞” と “ウイルス” の両方を破壊することで体内を正常化していきます。

そして、こうした敵情報や抗体のつくり方などは記憶され、将来、同じ病原体に侵されそうになっても病気に罹(かか)らない仕組みになっています。(※ワクチンは、特定の病気に対する必殺武器のつくり方を「獲得免疫システム」に教える注射です。)

免疫システムのまとめ

水際では、目、鼻、口といった粘膜で「局所免疫」が感染を防ぎ、体内では、病原体が侵入するとすぐに発動する”第一迎撃部隊”である「自然免疫」が、そして病原体の侵入から数日後に発動する「獲得免疫」は “いわゆるボス戦” となって、病原体は攻略され、病気は退治されます。

この記事では、大まかに説明していますが、実際には山ほどの種類の「シグナル伝達物質」や様々な種類の「細胞の働き」が関わっています。「シグナル伝達物質」は、ある細胞が別の細胞に「こういう動きをして」と伝えるための「メッセージ」のようなものです。

様々なメッセージの種類がありますが、それらをすべて総称して「サイトカイン」と呼びます。これら「メッセージ」の受け取りや、戦況の変化をフィードバックするシステムのバランスによって、防衛体制が統制されているんですよ。

サイトカインストーム説

昨今、コロナのニュースでは「サイトカインストーム説」というものが出てきています。

これは「新型コロナの重症化はウイルスの仕業ではなく、ウイルスに対抗しようとした免疫システムの異常が原因かも?」という説なんです。

肺炎には「体が病原体に勝つための作戦で肺に負担がかかり過ぎてなる(肺胞に液体が溜まった結果、息苦しくなる)場合」もあれば、「自分の免疫反応が暴走して肺の周辺に炎症を起こしてなる場合」もあります。

後者は「サイトカインストーム(サイトカインの嵐)」によって引き起こされる肺炎です。そして、新型コロナの重症化はこ「サイトカインストーム」ではないか?と言われているのです。(リソース:Ann Intern Med. 2020.DOI: 10.7326/M20-0533)

「サイトカイン」には闘いを活性化させる「メッセージ」、沈静化させる「メッセージ」、両方ともあるのですが、それらが正常なバランスを崩すことによって「サイトカインストーム」が起こります。

どんなに有用なシステムも、バランスが崩れるとうまく機能しなくなるんですね。

病気になりにくい体を維持するために

睡眠

この記事では免疫システムについて、紹介しましたが、この免疫システムが最大の力を発揮するのは寝ている間です。

睡眠中に体がしていること
  1. 眠りに入った直後の深い睡眠で、人の体はまず、「疲労回復」「細胞の修復」をし、新しい細胞の生産を活性化させます(新陳代謝)。老化防止や美容、健全な成長のためにこの入眠直後の深い睡眠はとても大切です。
  2. 次に、記憶を整理したり定着させたりする工程があります。
  3. そして免疫細胞が抗体を作る工程、つまり免疫系が活性化する工程があります。

免疫系が仕事を活性化するのは3番目。つまり、この過程が順番に、十分に行われるのに必要な睡眠時間がないと免疫力が下がる、ということです。睡眠研究の専門家によると、人がこうしたことを一通り終えるのには、個人差はあっても、平均的には7時間の睡眠時間が必要ということです。

また、サイトカインストームの例にもあるように、体の免疫システムが「正常に作動する」には、「免疫機能をコントロールするシグナル伝達のバランスがとれている」ことも大切です。

こうしたバランスを保つためにも「睡眠」はとても大切です。睡眠中は、気づかないうちに体にかけてしまった負荷や心に負担のかかる記憶などを整理し、体のバランスを微調整してくれるからです。

また、普段から心を落ち着け、体調が少し悪くても、いたずらに不安を膨らませないこと。批判的な気持ちにフォーカスせず、日常の安心できる側面を意識して見つけていく心がけが大切です。

よい睡眠をとるための秘訣はこちらの記事にまとめています。

ストレス

睡眠と並んで大切なのは「ストレスを感じる考え方、捉え方をしないこと」。

何故かというと、ストレスを感じると、体は免疫系をストップさせてしまうからです。

ストレスとは、元々、現実に危険にさられている状況を生き延びるためのシステムとして搭載されています。現実の危険というのは、例えばクマに遭遇するなどして実際に襲われるかもしれない状況などのことです。

このような状況では、その瞬間を生き延びるために最善の行動をとらなければなりませんよね。逃げた方がいいのか、武器などで闘って勝機があるのか、迅速・適切に判断し、逃げるか立ち向かうか決めなければいけません。

こういった差し迫った状況では、逃げるか闘うか判断するために脳を活性化させたり、高い運動能力を発揮させたりするのに、血液中の酸素濃度を上げようと呼吸が速くなったり、その血液を大量に脳や筋肉へ送り出そうと鼓動が速くなったりします(心臓がポンプして血液を体中へ送り出そうとします)。

かなりエネルギーが消費されるのが分かりますね。そこで、生きるか死ぬかに関係のない免疫機能や消化機能などは低下させて、エネルギーを生き延びるための判断力や筋肉の方へ回すことになります。すると、考えなくてもいいことを考え出して、もっと不安が募ったり、体に力が入ってイライラし、暴力的な発言や態度をとりたくなってきたりします。

「コロナが不安」「経済的に不安」「生活環境に制限が多くてイライラする」などのストレスは、次の瞬間に死ぬ危険と直面しているストレスとは違うにも関わらず、交感神経を活性化させてしまいます。「交感神経が活性化する」=「闘うか/逃げるか?」という状況に最適化した体の状態が作られる、ということになります。すると、免疫系がストップしてしまうのです。

無駄に免疫機能を下げないように気をつけましょう。

ストレス体質にならないための実践は、下記のサイトでご案内しています。よろしければご覧ください。

ソフロロジーのセルフワーク実践講座

おまけ ~ ウイルスの進化予測

ウイルスは基本的に進化の速い物質です(第1弾で説明しましたが、ウイルスは生物扱いされていませんので)。

時間が経てば、その性質は変化していくと考えられています。では、どのように進化していくのかというと「感染しても重症化しにくくなっていくだろう」と言われています。

何故か?というと、ウイルスとしては、感染者に亡くなられると自分たちも増殖できなくなるので、得なことは何もないんですね。感染した人には生きて、誰か新しい人に感染してもらった方がウイルスは嬉しいわけです。

そんなわけで、1、2年もしたら「インフルエンザのような、ありふれた病気の仲間入りをするのではないか?」と言っている専門家もいるようです。

この予測は、まだ証明されていませんので先のことは分かりませんが、ウイルスが自分で弱毒化してくれるんだったら、それはそれで嬉しいですよね。

日々、新しい統計データや研究データが更新される新型コロナウイルス。でも、知っておけば、無駄に怖れることもなくなりそうです。

とはいえ、ネット上には様々な専門家が様々なことを言っていて、それが混乱の元になっているという実態も・・・。

というわけで、コロナウイルスの専門家の有志たちが無料で「正しい情報を拡散しよう」と頑張ってくれていますので、そのサイトをご紹介して、ウイルス講座を終わりとさせて頂きたいと思います☆

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました (*^▽^*)/

専門家たちも頑張ってくれてます! ぜひ、お役立てくださいね。⇓⇓⇓⇓⇓
※主には、日本在住者向けの情報にはなるかと思いますが・・・。

コロナ有志の会