あなたは、上司へ、部下へ、何か意見しなければいけないとき、ノンストレスで発言できますか?

どうしても「責めたり」「批判したくなったり」そんな気持ちが渦巻いてしまいませんか?

フランスの心理学研究最前線(雑誌「Cerveau & Psycho」(脳と心理))では、上手に表現できるなら「気持ちは表現すれば表現するほど幸せになれる」と書かれてあります。

ノンストレスで部下の人材育成、上司との良い人間関係構築ができて自分も幸せになれたら・・・。

あなたにとっても、周りにとっても、仕事のパフォーマンスが上がりますよね。

本記事では、そんな「あなたの願ったり叶ったり」を実現する具体的な方法についてお伝えします。







トラブルを招くNG表現

相手と対立したとき、「上手に意見する」ために、やってはいけない「NG表現」があります。

それは、、、、、

「イライラを爆発させるような表現」

相手と意見が違うとき、相手に対して「なんで、こんなことも分かってくれないんだ!」とイライラしたり、「これでは、自分が責任を問われる」という「理不尽さ」を感じたりしませんか?

そうすると、ついつい相手を批判するイライラした気持ちが湧いてきます。

問題なのは、いくら穏やかに話しても「そのイライラは相手に伝わる」という人間の心の仕組み。

人間関係のトラブルは、「あなたの意見そのもの」ではなく、あなたの心の中にある「自分が正しくて相手は間違っている」と主張したい気持ち「相手を自分の言うとおりにしたい」という支配欲が原因です。

でも・・・、相手のせいで大変なことになってるんだから「批判されて当然」「相手が変わるべきだ!」

そんな風に思うことに私も共感してしまうのですが(笑)、でも考えてみてほしいんです。

あなたが、自分でも「アレはまずかったな、やっちまった!」と思っているときに、他人から「批判的な言葉や態度」で「ほれ、見たことか」と、指摘されたり、まるで「あなた自身を否定される」かのような言葉で注意されたら・・・?????

指摘に感謝して「聞き入れたい」とは、思えなくないですか?

それよりも「同じ事を繰り返さないために、どうしたらいいか?」という視点を共有してもらった方が、あなたにとっても見返りは大きいのです。

ここで、「伝える」のではなく「伝わるようにコミュニケーションをとる」ことを念頭においてみましょう。

イライラを爆発させるような表現をしても、攻撃的な感情だけが相手に伝わり、肝心な可決策は相手に伝わりません。

それどころか、イライラをぶつけるとあなた自身のイライラも長引くことが心理学研究で明らかになっています。

 

では、部下や上司に賢く意見できる人は、普段、どんなコミュニケーション方法をとっているのでしょうか?

実は、人間関係が上手な方々は「心の知能指数=EQ」が高いという特徴があるんです。(ちなみに、「EQの高さ」と「社会的成功」「収入の高」は比例する、という調査データも発表されています)

詳しくはコチラの記事がおススメです。

仕事で成功したい人が知るべき「高IQ vs 高EQ」どっちが大事?

話を戻して、EQの高い人は、どんな風に意見するのでしょうか?

それは、イライラを押し殺すのではなく、適切な言葉で相手に「自分のイライラ」も伝えるのです。

もしかしたら、あなたは「イライラをぶつけたい」「相手のしたことはダメだ」と言いたいのを押し殺して話をした結果、「トゲのある良い方」や「高圧的な口調・態度」、「丁寧だけれども相手の自尊心を傷つけるような表現」が混じってしまい、気まずい人間関係に陥ってしまっているのではないでしょうか?

感情を抑え込まずに表現する技術を身に着ければ、あなたもEQの高い人と同じように、ノンストレスで意見することができるようになりますよ!

角が立たない意見の言い方 簡単5ステップ

今回は、部下に意見する場合を例に、説明していきます。

困った部下に「イライラした気持ちを上手に伝えながらも、部下のやる気を引き出し、最終的には仕事のパフォーマンスを上げる」ために。

こちらが、そのための「5ステップ」です。

上手に意見する5ステップ

 

  1. 淡々と事実を言葉にする。
  2. 「私は」という主語を使って自分の感情を言う。
  3. 自分の感情」と「相手の行動」との因果関係を穏やかな態度で伝える。
  4. 部下に今後の解決方法を提案する。
  5. 部下の能力(問題解決能力)を「認めている」と言い、前向きな言葉で会話を締めくくる。

それでは、具体例を用いてイメージしていましょう。

 

ある日、大事な仕事のミーティングの約束をしていた部下がミーティングに遅刻してしまいました。

上司であるあなたが部下にかける言葉として、次に示す2つの表現のうち、どちらが好ましいと思いますか?

☆感情表現 A

「君はいつも遅刻してばかりしているじゃないか!毎回、本当に君には頭に来るなあ。約束の時間を守るという当たり前のことが、どうして君にはできんのかね。まあ、いくら話したって無駄だろうな。もう、仕事へ戻れ」

☆感情表現 B

「私たちの約束は11時だった。今は11時20分だ。君が遅刻したこの20分間、私の時間は無駄になってしまった。正直にいって、私は今すごく腹が立っている。

次回からは約束の2時間前に、約束の時刻に間に合うのかどうか、君から連絡を入れてくれ。君と私が協力すれば、お互いにいい仕事ができると私は君を信頼しているんだ。頼んだぞ」

 

もちろん、好ましい感情表現はBの方です。

 

5ステップについて、詳しく説明していきますね。

イライラを上手に伝えるための 5ステップ》

ステップ 1

第一声で「君はいつも遅刻じゃないか!」と言うのはNG。

第一声で、自分の感情を一方的に吐き出したり相手の行為を批判したりすることがないようにしましょう。

頭に血が登ったときは、5秒数えながら息を口から吐き出します。

そして、淡々とした口調で話せる呼吸に戻ったら、客観的な事実を、時系列で相手に説明しましょう。

※「感情表現B」の「私たちの約束は11時だった。今は11時20分だ」は、客観的な事実以外の情報が一切入っていないフレーズになっています。

 

ステップ 2

「君には本当に腹が立つ!」のように相手を主語にするのではなく、「私は」と、自分を主語にしてイライラを伝える表現をするようにしましょう。

相手を主語にしたフレーズを使うと、「相手を批判するニュアンス」が自然と入るからです。

あなたにとって、同僚(上司や部下)が敵に見えてしまうことは得策ではありません。

仕事上の同僚は、協力し合うことで目標を達成できる、あなたの味方なのです。

 

ステップ 3

ステップ2で伝えた「あなたのイライラの原因」について、論理的に説明しましょう。

「自分はイライラして当然だ!」「その理由が分からないなんて、相手は間違っている!自分で考えて理解しろ!」という思考に陥うと、相手はあなたの言葉を聞き入れなくなります。

また「君には頭に来る!」などと、相手をまるごと否定するような表現をとれば、長期的に信頼関係が崩れます。

あくまでも「目的は仕事をうまく進めること」で、相手の人間性を批判して、あなたの気分を満足させることではありません。

「相手の人格」と「相手の行動」は別物だということを忘れず、問題となった行動のみに話題をフォーカスします。

 

ステップ 4

問題の解決策となる「相手の具体的行動」を提案しましょう。

感情表現 A 「もっと遅刻しないようにできないのかね」と、相手の悪い点を指摘して、「どうしたらいいか?」は相手に考えさせる、とうやり方ではなく、

感情表現 B 「次回からは約束の2時間前に、君が約束の時刻に間に合うのかどうか、連絡を入れてくれ。」という言い方の方が、より具体的で、実現可能な提案になります。

 

このステップのポイントは、感情表現 Aのように、「もっと遅刻しないようにできないのかね」という否定形を多用したフレーズを使わないこと。

具体的にどういう行動をとってほしいと、肯定文で提案した方が、文章もシンプルですし、相手も快く受け取りやすくなります。

 

ステップ 5

締めは、相手の人間性と能力に信頼を示すポジティブな言葉(自己肯定感と信頼関係を強めるメッセージ)で会話を締めくくります

どんな人でも、「自分を信頼していくれる人の期待には努力して応えたい」これが人の心情です。

「もういい!いくら話したって無駄だ!」などと言われた相手のためには、あなただって協力したくないですよね?

目的は相手を傷つけたり、自己肯定感を下げたりせずに、お互いの信頼関係を強め、協力して仕事をうまく進めること

真の目的を常に意識しましょう。

「あなたに信頼を寄せ、あなたの幸福を望む仕事仲間」が増えれば増えるほど、あなたは仕事がやりやすくなっていきます。

ですから、一時的に感じたイライラを発散することで、その後の仕事も難しくしてしまわないようにしましょう。

まとめ

上手に意見するためのポイント

 

  1. 第一声で、感情を爆発させない。
  2. ネガティブな感情は押し殺さず、冷静な言葉で伝える。
  3. 目的は、敵対することでなく「同じ方向へ向かって進むこと」であるのを忘れない。

 

相手に意見するための5ステップ

 

  1. 第一声では、客観的な事実を時系列で説明し、事実確認をする。
  2. 自分のネガティブな感情伝える。(「私は」と、自分を主語にしたフレーズを使う。)
  3. 「自分がネガティブな感情を持っている原因が「相手の行動」と関係している」ことを分かってもらう
  4. 問題解決に相手に協力してもらうための「相手の具体的行動」を提案する。
  5. ポジティブな言葉(相手の自己肯定感を高め、自分との信頼関係を強めるメッセージ)で会話を締めくくる。