あなたは、上司へ、部下へ、何か意見しなければいけないとき、ノンストレスで発言できますか?
どうしても「責めたり」「批判したくなったり」そんな気持ちが渦巻いてしまいませんか?
フランスの心理学研究最前線(雑誌「Cerveau & Psycho」(脳と心理))では、上手に表現できるなら「気持ちは表現すれば表現するほど幸せになれる」と書かれてあります。
ノンストレスで部下の人材育成、上司との良い人間関係構築ができて自分も幸せになれたら・・・。
あなたにとっても、周りにとっても、仕事のパフォーマンスが上がりますよね。
本記事では、そんな「あなたの願ったり叶ったり」を実現する具体的な方法についてお伝えします。
トラブルを招くNG表現
では、部下や上司に賢く意見できる人は、普段、どんなコミュニケーション方法をとっているのでしょうか?
実は、人間関係が上手な方々は「心の知能指数=EQ」が高いという特徴があるんです。(ちなみに、「EQの高さ」と「社会的成功」「収入の高」は比例する、という調査データも発表されています)
詳しくはコチラの記事がおススメです。
話を戻して、EQの高い人は、どんな風に意見するのでしょうか?
それは、イライラを押し殺すのではなく、適切な言葉で相手に「自分のイライラ」も伝えるのです。
もしかしたら、あなたは「イライラをぶつけたい」「相手のしたことはダメだ」と言いたいのを押し殺して話をした結果、「トゲのある良い方」や「高圧的な口調・態度」、「丁寧だけれども相手の自尊心を傷つけるような表現」が混じってしまい、気まずい人間関係に陥ってしまっているのではないでしょうか?
感情を抑え込まずに表現する技術を身に着ければ、あなたもEQの高い人と同じように、ノンストレスで意見することができるようになりますよ!
角が立たない意見の言い方 簡単5ステップ
今回は、部下に意見する場合を例に、説明していきます。
困った部下に「イライラした気持ちを上手に伝えながらも、部下のやる気を引き出し、最終的には仕事のパフォーマンスを上げる」ために。
こちらが、そのための「5ステップ」です。
上手に意見する5ステップ
- 淡々と事実を言葉にする。
- 「私は」という主語を使って自分の感情を言う。
- 「自分の感情」と「相手の行動」との因果関係を穏やかな態度で伝える。
- 部下に今後の解決方法を提案する。
- 部下の能力(問題解決能力)を「認めている」と言い、前向きな言葉で会話を締めくくる。
それでは、具体例を用いてイメージしていましょう。
ある日、大事な仕事のミーティングの約束をしていた部下がミーティングに遅刻してしまいました。
上司であるあなたが部下にかける言葉として、次に示す2つの表現のうち、どちらが好ましいと思いますか?
☆感情表現 A
「君はいつも遅刻してばかりしているじゃないか!毎回、本当に君には頭に来るなあ。約束の時間を守るという当たり前のことが、どうして君にはできんのかね。まあ、いくら話したって無駄だろうな。もう、仕事へ戻れ」
☆感情表現 B
「私たちの約束は11時だった。今は11時20分だ。君が遅刻したこの20分間、私の時間は無駄になってしまった。正直にいって、私は今すごく腹が立っている。
次回からは約束の2時間前に、約束の時刻に間に合うのかどうか、君から連絡を入れてくれ。君と私が協力すれば、お互いにいい仕事ができると私は君を信頼しているんだ。頼んだぞ」
もちろん、好ましい感情表現はBの方です。
5ステップについて、詳しく説明していきますね。
イライラを上手に伝えるための 5ステップ》
ステップ 1
第一声で「君はいつも遅刻じゃないか!」と言うのはNG。
第一声で、自分の感情を一方的に吐き出したり、相手の行為を批判したりすることがないようにしましょう。
頭に血が登ったときは、5秒数えながら息を口から吐き出します。
そして、淡々とした口調で話せる呼吸に戻ったら、客観的な事実を、時系列で相手に説明しましょう。
※「感情表現B」の「私たちの約束は11時だった。今は11時20分だ」は、客観的な事実以外の情報が一切入っていないフレーズになっています。
ステップ 2
「君には本当に腹が立つ!」のように相手を主語にするのではなく、「私は」と、自分を主語にしてイライラを伝える表現をするようにしましょう。
相手を主語にしたフレーズを使うと、「相手を批判するニュアンス」が自然と入るからです。
あなたにとって、同僚(上司や部下)が敵に見えてしまうことは得策ではありません。
仕事上の同僚は、協力し合うことで目標を達成できる、あなたの味方なのです。
ステップ 3
ステップ2で伝えた「あなたのイライラの原因」について、論理的に説明しましょう。
「自分はイライラして当然だ!」「その理由が分からないなんて、相手は間違っている!自分で考えて理解しろ!」という思考に陥うと、相手はあなたの言葉を聞き入れなくなります。
また「君には頭に来る!」などと、相手をまるごと否定するような表現をとれば、長期的に信頼関係が崩れます。
あくまでも「目的は仕事をうまく進めること」で、相手の人間性を批判して、あなたの気分を満足させることではありません。
「相手の人格」と「相手の行動」は別物だということを忘れず、問題となった行動のみに話題をフォーカスします。
ステップ 4
問題の解決策となる「相手の具体的行動」を提案しましょう。
感情表現 A 「もっと遅刻しないようにできないのかね」と、相手の悪い点を指摘して、「どうしたらいいか?」は相手に考えさせる、とうやり方ではなく、
感情表現 B 「次回からは約束の2時間前に、君が約束の時刻に間に合うのかどうか、連絡を入れてくれ。」という言い方の方が、より具体的で、実現可能な提案になります。
このステップのポイントは、感情表現 Aのように、「もっと遅刻しないようにできないのかね」という否定形を多用したフレーズを使わないこと。
具体的にどういう行動をとってほしいと、肯定文で提案した方が、文章もシンプルですし、相手も快く受け取りやすくなります。
ステップ 5
締めは、相手の人間性と能力に信頼を示すポジティブな言葉(自己肯定感と信頼関係を強めるメッセージ)で会話を締めくくります。
どんな人でも、「自分を信頼していくれる人の期待には努力して応えたい」これが人の心情です。
「もういい!いくら話したって無駄だ!」などと言われた相手のためには、あなただって協力したくないですよね?
目的は相手を傷つけたり、自己肯定感を下げたりせずに、お互いの信頼関係を強め、協力して仕事をうまく進めること。
真の目的を常に意識しましょう。
「あなたに信頼を寄せ、あなたの幸福を望む仕事仲間」が増えれば増えるほど、あなたは仕事がやりやすくなっていきます。
ですから、一時的に感じたイライラを発散することで、その後の仕事も難しくしてしまわないようにしましょう。
まとめ
上手に意見するためのポイント
- 第一声で、感情を爆発させない。
- ネガティブな感情は押し殺さず、冷静な言葉で伝える。
- 目的は、敵対することでなく「同じ方向へ向かって進むこと」であるのを忘れない。
相手に意見するための5ステップ
- 第一声では、客観的な事実を時系列で説明し、事実確認をする。
- 自分のネガティブな感情を伝える。(「私は」と、自分を主語にしたフレーズを使う。)
- 「自分がネガティブな感情を持っている原因が「相手の行動」と関係している」ことを分かってもらう。
- 問題解決に相手に協力してもらうための「相手の具体的行動」を提案する。
- ポジティブな言葉(相手の自己肯定感を高め、自分との信頼関係を強めるメッセージ)で会話を締めくくる。
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