プロフィールにも記載していますが、私はフランスで「ヒプノバーシング(自己催眠出産)」を体験しました。ヒプノバーシングと言うと何だかモダンで先進的な響きがしますが、日本語で「自己催眠」と聞くと「催眠術?」と怪しげな聞こえがしますよね。悪徳商法や詐欺の手口として使われていそうなテクニックというか・・・(笑)。

けれど、本来、催眠術は医療に用いるために発展を遂げてきたセラピー手法なんですよ。この記事では、催眠術の簡単な歴史と、現代のフランスの医療現場で用いられている催眠術についてご紹介します。
どうぞお楽しみください!

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催眠術は医師が編み出した手法 ~ 催眠術の歴史

催眠術はドイツの医師Mesmer(メスメル)氏によって18世紀初頭に初めてフランスへもたらされました。西洋の医学分野ではそれまで意識の状態を変える手法は超自然的として避けられてきましたが、西洋医学の歴史の中で初めてその分野に踏み込んだことになります。

当時、キリスト教社会であったヨーロッパでは精神的な病を抱えている人は「悪魔に取り憑かれている」などとされ、エクソシスト(悪魔祓い)に診てもらう他に対処法がありませんでした。(中世を舞台にした映画ではそんなシーンもお馴染みかと思います(笑)。)

Mesmer(メスメル)氏がもたらした催眠手法は、そういった精神症状に対する宗教的なアプロ―チに代わるものとして紹介され、身分に関わらず多くのフランス人が関心を抱くこととなりました。(当時のフランスはまだ革命が起こる前で王様や貴族などの身分制社会だったんですよ。)

ところが、Mesmer(メスメル)氏によって催眠手法がフランスへもたらされた5年後には、フランスの医師による催眠手法を用いることは禁じられてしまいます。2つの医師のグループがMesmer(メスメル)氏の催眠手法を検証した結果、期待される効果と反対の結果を観察したとし、王様に「催眠術は危険である」と匿名の報告をしたからです。

 

このように、催眠術は長い間、西洋でも良いイメージがなく、医学分野で敬遠されてきた歴史があります。その歴史を大きく変えたのがアメリカの医師であり、心理学者でもあったMilton H. Erickson (1901-1980)氏です。

エリクソン氏は自身がポリオという病に侵されており、体に麻痺症状がありました。その麻痺症状から脱するためにエリクソン氏は自己催眠を用いていたのです。その実体験から、エリクソン氏は「催眠手法はセラピーに用いることができる」という大きな確信を得て、現在「エリクソン催眠」と呼ばれている有名な催眠手法を確立させました。

 

現代のフランスでも「エリクソン催眠」は非常に有名で、多くの催眠術師が学んでいます。

 

催眠術の歴史は右葉曲折あって、やっと医学分野で市民権が得られるようになったことがお分かり頂けたかと思うのですが、では実際に現代のフランスではどのように用いられているのでしょうか?

 

※この記事の内容は「Institut Français d’hypnose」(催眠手法の研究と指導を行う学院)の情報を元にしています。

フランスでは割と身近な催眠術

セラピー

現代のフランスのヒプノセラピー(催眠術を用いるセラピー)は、特定の恐怖症やトラウマ的な症状を克服する手段として知られています。特に精神的に病んでいる場合でなくとも、日常生活の障害となっている症状を取り除くためにヒプノセラピーが用いられているのです。

そういった意味では、日本より敷居が低いのかもしれませんね。

こうしたヒプノセラピー(催眠セラピー)の多くは、催眠手法を習得した方が個人で開院しているクリニックで行われことがほとんどですが、一方で、フランスでは大きな病院や産院で活躍する催眠術師もいます。

 

長い間、医療業界で敬遠されてきた催眠術、大きな病院で一体どのような使われ方をしているのでしょうか?

催眠術で麻酔いらず!? フランスの医療現場

実はフランスの医療現場では、催眠術が手術の際の全身麻酔の代替として用いられることがあるのです。

すでに多くの臨床研究において、癌や癌治療に対する不安や痛みを催眠術によって緩和できることが報告されています。

例えばこちらの記事では、フランスの大病院である「Institut Curie」(キュリー大学病院:有名な科学者であるマリー・キュリーの名前がついている大学病院です。)のDr Aurore Marcou(オロール・マルク―医師)のチームが2015年から繰り返し行ってきた催眠術よる麻酔について記載されていたのでご紹介します。

Dr Aurore Marcou(オロール・マルク―医師)によると、催眠術は様々な手術で麻酔の代替として用いることができ、特に乳がんの手術には適しているということです。

この病院で2011年から2017年に乳癌手術が行われた患者さんの年齢層は18歳~100歳と幅広く、その中には心臓や呼吸器に大きな問題を抱えている方もいらっしゃったということです。心臓や呼吸器に問題を抱えている方にとって、麻酔はリスクの高い鎮痛手段となります。薬による麻酔には常に副作用のリスクが伴うからです。

こういった方々にとって、薬による麻酔を用いずに催眠術によって痛みをなくして手術を行う方法は患者さんにとっても手術者にとっても快適で不安の少ない手法になっているということです。

実は、ソフロロジスト養成講座について調べていた頃、催眠術師の養成コースについても調べたことがあります。ヒプノセラピストになるためであればかなり短期間のコースでなれるようでしたが、催眠術を奥深くまで理解し実践できるようになるためには最低でも3年くらいのコース(たしか大学のコースだったと思います)を受講する必要があるようでした。手術室などで麻酔の代わりに行うような催眠術はこうした体の機能や脳機能まで医学的なことも深く理解した催眠術師が施術していると思われます。

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