近年、大注目の「ソフロロジー出産」興味はあっても、本当のところ、どんな出産なのかあんまりピンとこない方も多いのではないでしょうか?
「【ソフロロジー出産百科】まる分かり!本当に痛くない?誰にでも効く? vol. 2」
では、ソフロロジー出産のどんな部分が効果を高めているのか?
少し専門的にはなりますが、効果の裏側を詳しくご紹介します。
細かい話は抜きで「どんな良いことがあるのか知ったら十分だよ」
という方はVol. 1をご覧くださいね。
【ソフロロジー出産百科】まる分かり!本当に痛くない?誰にでも効く? Vol. 1
Vol. 1 をまだご覧でない方へ。
執筆者は、元京大医学部の研究室で実験技師だったリケジョ・セラピスト
そして、現在、日本人初!のフランス国家職業技術レベル認定機関『RNCP』
認定ソフロロジスト(ソフロロジー専門セラピスト)です。
ちなみに、自己催眠出産で実際に陣痛の痛みをコントロールした体験者でもあります (*^-^*)。
タイトルに「百科」とついているように、Vol. 1と合わせて「ソフロロジー出産の1~10まで」お伝えしていきますので、
「長いよ~」と思われる方は、目次から気になる記事へジャンプしてくださいね!
目次【興味のある内容へジャンプ】
Vol. 1では、特に、出産時の痛みの軽減に大切なことは3つありますよ、ということをお伝えしたところで終わっていましたね。
以下の3つの要素を持っている妊婦さんの出産時の痛みが軽いといわれています。
《出産時の痛みを軽くする3つの「ポジティブなイメージ」》
- 妊婦さんが出産に対してポジティブなイメージを持っている。
- 妊婦さんが母親としての自信を持っている。
- 妊婦さんが女性としての自分の体を信頼している。
では、これから「ポジティブシンキングでいこう!」という気持ちでいれば「出産時の痛みがなくなるのか?」というと、残念ながらそんなに単純な話でもないんですよね。
痛みに対する恐れや出産についての「なんとなく不安な気持ち」は、実は、顕在意識ではなく無意識に潜んでいるからなんです。
心の奥底にこっそり隠れている不安へ、ソフロロジー出産がどうアプローチしているのかについてお話します (*^-^*)。
無意識って?
無意識というのは、最も分かりやすくいうと、寝ているときの意識の状態です。
寝ている間、脳は活動していないような気がしますが、実際はそうではないんですね。
寝ている間に外で激しい雨音や雷が鳴っても気づきませんが、だからといって脳が完治していないわけではありません。
脳は寝ている間の激しい雨音や雷をキャッチしてはいても、顕在意識の情報としては気づいていないということです。
だって、大切な情報ではありませんから。
寝ている間の無意識の脳波をデルタ波といいます。
そして起きているときの顕在意識の脳波がベータ派。
通常、ベータ派にいるときは、デルタ派の体験は「夢」として片付けられ、正確にどんな体験をしたのかは記憶に残りにくい性質があります。
ですが、シータ波で経験したことは、無意識と顕在意識の両方で体験を共有しやすくなります。
シータ派は、眠りに落ちる寸前のまどろみの状態に出てくる脳波で「深いリラクゼーション状態」にある脳波です。
(この状態のことをソフロロジーでは、ソフロリミナルな状態といいます。)
ソフロロジー出産のセッションでは、シータ派状態へ移行してイメージトレー二ングを行います。
すると、同じポジティブなイメージが顕在意識と無意識とで共有されることになるんですね。
ソフロロジーは人によって効果の出方が違うのか?

日本では、助産師さんからソフロロジー出産の講習を受けられる場合もありますが、ソフロロジー出産のCDで「ひたすらイメージトレーニング」をしてソフロロジー出産に挑戦した、という話もたくさん見かけます。
そんな体験談では、絶大な効果を感じた方もいらっしゃれば、イマイチだったという証言もあるんですね。
例えば、こちらのブログ(はなの初育児日記)では、ソフロロジー出産を行っている産院の例で、様々な出産があることが紹介されていました。
ソフロロジーがあまりうまくできていなく、普通のお産みたいに
出産されていた方もいたので(笑)ソフロロジーを導入している病院で出産
されたとしてもママによって合う、合わないはあると思いますが…
(※*はなの初育児日記*より一部引用)
こう聞くと「果たして自分はソフロロジーの効果を感じられるタイプなのか否か?」と疑問に思うのもうなずけます。
でも安心してください。
生まれつきソフロロジーの効果が出るタイプと、そうでないタイプの方がいるわけではありません。
にも関わらず、ママによって効果に差が出てしまうのは何故なのでしょうか?
妊娠・出産は女性にとっても一大事
妊娠・出産は古くからたくさんの女性が経験してきた人生であり、一般的に「特別なこと」という印象は持たれませんよね。
けれど、一人の女性の一生にとっては、とても特別で大切な出来事であることに違いはないのです。
妊娠前は単なる想像の1つに過ぎなかった「妊娠・出産」は、妊娠すると同時に身体的、感情的な感覚を伴うリアルな体験へと変化します。
ホルモンバランスが変わって感情的になったり、体が辛かったり、食べ物の好みが変化したり、周囲から受ける視線が変わったりします。
そのような、肉体的・精神的・社会的な変化が一気にやってくることによって、妊娠した女性はそれまで気づかなかった感情や思考を体験し、過去の記憶や潜在的に持っていた不安が大きくなっていきます。
こうして、気づいていても、いなくても、心の奥底には次のような想いが渦巻くようになるのです。
・出産の痛みや大変さへの怖さや漠然とした不安。
・子どもの健康や出産時のトラブルに対する心配。
・妊娠に伴う体形の変化への嫌悪。
・つわりや身体のしんどさに対する不満。
・子育てに対する意気込みと自信のなさ。
・子どもへの愛情と自分の人生やパートナーに対する想いに揺らぐ気持ち。
・パートナーの態度や親族の態度の変化に対する心理的動揺。
これら潜在的、顕在的に感じる不安や戸惑いは、妊娠・出産体験を大きく左右する一因となります。
日々の練習
ソフロロジーは、どちらかというと、スポーツやダンスのように繰り返しトレーニングすることによって体や心の状態を整えていくメソッドです。
そのため特にCDを聞くだけで準備される場合は「一度ソフロロジーCDを聞いただけ」では、なかなかソフロロジー出産の恩恵に預かれないんですね。
スポーツやダンスでは、正しい体の動きができるようになるために繰り返し練習しますよね。
講師から「こうするんだ」「こう動かすんだ」と指導を受けて、一度や二度、できても毎回できなければ「できるようになった」とはいえません。
体や無意識がリラックス状態を覚える、とはそういうことなんです。
無意識に潜む感情や思考
もともとの心理状態によっても大きく左右されます。
ご紹介した以下の3つのセルフイメージが元々強く、呼吸法などのリラックス習慣がおありの方はCDを聞いて準備するだけでも、大きな恩恵を
受けられる可能性が高いといえます。
《出産時の痛みを軽くする3つの「ポジティブなイメージ」》
- 妊婦さんが出産に対してポジティブなイメージを持っている。
- 妊婦さんが母親としての自信を持っている。
- 妊婦さんが女性としての自分の体を信頼している。
逆に次のような方はソフロロジーCDだけで臨むのは難しいといえます。
- パニック障害や不安症など、持病がある。
- 病院が嫌い。
- アダルトチルドレン
- 毒親育ち
- 母親が好きではない。
- 妊娠高血圧症候群や切迫流産などの危険がある。
- 胎児の病気や低体重出産が危惧されている。
こうした方はCDを聞いて簡便に済ませるのではなく、セラピーの中で、不安などを和らげ、体をリラックスさせる方法を身に着けるのがおススメです。
こうした心理ケアがあるのとないのとでは、新生児育児を含めたその後の育児生活に大きな影響を及ぼすからです。
ソフロロジー出産についての詳しいご案内はコチラからどうぞ。
自分はやっぱり「セルフで挑戦したい!」という方のために自主練のコツをまとめてみましたよ。
記事を読んでいて、「セルフでソフロロジー出産を準備するのはなんか難しそうだ」と思われた方には「セルフで準備するソフロロジー出産とソフロロジストと共に備えるソフロロジー出産の違い」について、さらに詳しく記事にしていますので、こちらをご参考ください。
「ソフロロジストと一緒に備えるソフロロジー出産」は、特にソフロロジー出産を行っていない産院でも実践できます!!
「お近くにソフロロジー出産の施設がないけれど、挑戦してみたい」また「ソフロロジーCDだけでは心もとない」といった方は、ぜひ一度、お問合せください。
というわけで、ここからは「ソフロロジー・セッションって、なんか興味あるわ~。もうちょっと知りたいんだけどね~」という方向けに「そもそもソフロロジーって何なのか?」「ソフロロジー・セッションの中身はどうなっているのか?」についても公開しちゃいます。
そもそもソフロロジーって何?
ソフロロジー出産で出産の痛みが緩和できることは分かったけれど、そもそもソフロロジーって何?と、気になった方も多いことでしょう。
ソフロロジーは元々
「体と心をほぐし、心身を調和のとれた状態」
へと導くメソッドです。
このメソッドはスペインの精神科医アルフォンソ・カイセド氏が考案し、初期の頃には精神症を患う患者さんに行われていたものでした。
けれど、パリの学会で発表されて以来、心身の状態を健康に保つのに本質を捉えたメソッドであることから、非常に効果が高いと評判となり、様々な分野に取り入れられるようになっていきました。
こうして現代のヨーロッパでは、ストレスケアや痛みのコントロール、自己成長、そして出産準備のために効果の高い手法として幅広く活用されるようになったのです。
ソフロロジーの名前には次の三つのギリシャ語が含まれています。
sôs
ソ
調和・均衡
phren
フレン
意識・精神
logos
ロゴス
思考・言葉
ソフロロジーは西洋医学の知識(意識の状態を変えることによってセラピーの効果が高まること(フロイト)や体の緊張を解きほぐすことによって心理的緊張が和らぐこと(ジャコブソンのメソッド)などと、東洋の文化的知恵(日本の禅やヨガ、チベット仏教)を融合させたメソッドとなっています。
東洋文化からは、主に呼吸や瞑想の要素が研究され、取り入れられています。そのため、日本人にも受け入れやすいメソッドとなっています。
ソフロロジーってどんなことをするの?
1回のソフロロジー・セッションの内容は、大きく3つのパートに分かれます。



出産に対する不安を払拭し、理想の出産に向けてイメージトレーニングを行います。イメージトレーニングで出産を疑似体験することによって、いざ出産の場面になっても落ち着いて受け止め、出産へ臨むことができるようになります。このイメージトレーニングは「深いリラクゼ―ション状態」で行います。リラックスできて、とても気持ちのいい体験になりますよ。
ソフロロジー出産の練習はいつ頃から始めるのがいいの?
一般的には安定期に入った3、4か月目から行われることが多いです。
けれど妊娠初期からソフロロジー出産へ向けたトレーニングを始めることも可能です。
逆に出産予定日から2ヵ月を切るとトレーニング期間が短いので、ソフロロジー出産の恩恵を受けにくくなります。
ソフロロジ―出産の準備を通して身につけた方法は一生ものです。
育児のストレスケアや2度目の出産のときにもお役立て頂けますし、人生そのものが大きく変わる体験となります。
おまけ ~ ヒプノバーシング経験者の私がソフロロジー出産をしたい理由
実は私はヒプノバーシング(自己催眠出産)経験者です。
でも、第2子を授かることがあれば、今度はソフロロジー出産をしたいと望んでいます。
その理由は、簡単です。ヒプノバーシングは、痛みの緩和だけにフォーカスしているのに対して、ソフロロジー出産は妊娠・出産の質を上げるところまで考えられているからです。
実は意識の状態を下げ「深いリラクゼーション状態」に移行するテクニックを身につけるだけで、ほとんどの痛みは緩和することができます。
それがヒプノバーシング。
簡便といえば簡便な方法なのですね。けれど、それで妊娠・出産の質が変わるかというと、答えは否。
ただ、痛みがなくなるだけ。
出産時に意識を変性状態へ移行させるテクニックを身につけただけでは、潜在意識を整え、体や心を最良の状態へと導くことはできません。
体と心全体で生まれてくる赤ちゃんを迎え入れ、その後の新しい生活を心のゆとりをもって進められるようになるには、やはりソフロロジーの方が効果が高い、と私は感じています。